女性はエストロゲンの変動の影響で片頭痛が起こりやすい(写真提供:photo AC)
高齢者や女性の健康をサポートする外来で日々診療を行う宮尾益理子先生は、「更年期以降は、それまで守ってくれていた女性ホルモンがなくなるので、意識して自分の体を管理してほしい」と話します。どんな不調が表れ、どう対処すべきかを聞きました(構成=山田真理  イラスト=こやまもえ)

「アフター更年期」について専門医の解説はこちら

《不調1》頭痛

【概要】
女性はエストロゲンの変動の影響で、頭の片側がずきずき痛む片頭痛が起こりやすくなります。

また、肩こりや目の疲れ、精神的ストレスによって頭から首、肩にかけての筋肉が過度にこわばって起きる緊張性頭痛も多く、併発することも。

目(緑内障)や鼻(副鼻腔炎)、歯の咬み合わせなども頭痛の原因になります。

 

【対策】
規則正しい生活、ストレッチなどの運動、ストレス対策である程度予防できます。

月に数回なら市販の鎮痛剤も有効ですが、薬の使いすぎによる頭痛が起こることもあるので、頻度が高く、心配な時はかかりつけ医や専門外来で相談を。

また普段とは違う強い痛み、どんどん強くなる痛みを感じた時は、重篤な脳血管障害(くも膜下出血脳出血)の可能性があるので、すぐに医療機関(脳神経外科、脳神経内科)を受診してください。

 

《不調2》疲労・倦怠感

【概要】
仕事や家事など多くの役割を担っていると、「だるい」「疲れやすい」といった症状があっても我慢して、自分のことは後回しにしがち。

アフター更年期は、体力や気力が以前より衰えているのに無理をしてしまうため、それが疲労や倦怠感につながりやすいのです。

 

【対策】
貧血甲状腺などの内分泌疾患悪性腫瘍などが隠れている可能性もあるため、症状が続く場合は内科で相談を。問題がなければ、食事や睡眠など、生活習慣を見直しましょう。

筋肉をつくる源となるタンパク質、不足しがちなビタミンB1、B2、鉄やカルシウムも意識してとること。ウォーキングやスクワットなど手軽な運動もおすすめです。

友人との食事や趣味などを楽しむ「心の栄養」も忘れずに。漢方薬は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)が効果的です。