「ずるい攻撃」の矛先

特に最近はこのようなハラスメントに対する対策や理解がなされているのに、一向になくなる気配はありません。

なぜなら、「やってはいけないことだ」と禁止されればされるほどにその怒りを抑圧してしまうから。

『既読スルー、被害者ポジション、罪悪感で支配 「ずるい攻撃」をする人たち』(著:大鶴和江/青春出版社)

つまり自分の中の怒りやストレスを抑圧して、自分の中にはそのような感情はないという善人でいなければならなくなるのです。

「自分は善人であり正しい」という前提で生きようとすればするほど、心の中で起きる葛藤が大きくなり、自分の中に湧き上がる怒りやストレスはかえって大きくなって処理不能になってしまいます。

なぜなら人は不満や本音を抑え込めば込むほど、その欲求不満やストレスは肥大化してしまうからです。そうやって自分を誤魔化して抑圧すればするほど、溜まったストレスはちょっとした刺激で暴発することになってしまいます。

そして、このようなハラスメントを行う人々というのは、誰にでも迷惑行為や嫌がらせをするわけではありません。

その「ずるい攻撃」の矛先は、必ず自分より弱いものに向かいます。

なぜなら、絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選んでやっているからです。

自分の妻や夫、子ども、親、パートナー、親しい友人、同僚や部下、タクシーの運転手、コンビニの店員、スーパーのレジ係、電話オペレーターなど、立場上弱い人に吐き出す傾向にあります。

その被害を受けた人は、相手に逆らって反論したり、対立したり、諭したりすればするほど、相手は激昂し、よりひどい暴言や威嚇行為などになる場合もあります。

そして、被害にあった人が心を病んでしまうようになります。