阿川 この間番組で、歌手の瀬川瑛子さんにお話を聞いたんですよ。何年か前にお尻が痛くてつらかったとき、どうしてかを考えて「私、年とるの初めてだったから知らなかったの」って。
伊藤 ハハハハ。
阿川 結局は坐骨神経痛だったそうですけど、そのことばに感動しちゃった。私いま、50歳過ぎの人の趣味を紹介する番組に出てまして。おかげでぬか漬けにハーブ、俳句といろいろ世界が広がってきました。
伊藤 それでいうと、私アメリカでずっとズンバをやってたんですけど、最近楽しくってしょうがないの。1年前から再開したら、体の動きがわかってくるんですよ。足引きずるとか腰が痛いとか、これは治せるなって。
阿川 年をとると、まだ山のように新発見があるんですよね。目も耳もダメになってくる、髪は抜けるし、シワも。初めてのことだらけで新鮮だから、それを面白がって生きてれば、そのうち死ぬわと。
伊藤 確かにそう。新しいものに出会うのは楽しいもんね。
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阿川佐和子
エッセイスト、作家
1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家。99年、檀ふみとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年、『聞く力――心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位、ミリオンセラーとなった。14年、菊池寛賞を受賞。『老人初心者の覚悟』『ないものねだるな』『母の味、だいたい伝授』ほか著書多数
最新刊『話す力 心をつかむ44のヒント』が好評発売中
伊藤比呂美
詩人
1955年、東京都生まれ。78年に現代詩手帖賞を受賞してデビュー。80年代の女性詩人ブームをリードし、『良いおっぱい 悪いおっぱい』などで「育児エッセイ」の分野を開拓。近年は老いや死を見つめた『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(萩原朔太郎賞、紫式部文学賞受賞)、お経の現代語訳に取り組んだ『読み解き「般若心経」』などを発表。その他の著書に『ショローの女』『ウマし』『たそがれてゆく子さん』『道行きや』など。谷川俊太郎氏との対談集『ららら星のかなた』が好評発売中