老化と認知症の違い

次の図版を見てください。

<『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』より>

老化によるもの忘れと、認知症によるもの忘れには、次のような大きな違いがあります。

たとえば、夕食に何を食べたか覚えていないというのは、認知症の症状ではなく、単なるもの忘れです。

この場合、自分が夕食をとったことは覚えており、自分が忘れているという自覚があります。

記憶の一部だけを思い出せないということは、老化によるもの忘れでは珍しくありません。

それに対して、夕食をとったこと自体を覚えていない、自分が体験した出来事を丸ごと忘れてしまうのは、認知症の典型的な症状です。

『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(著:上村理絵/アスコム)

認知症の人は、食事をしたこと自体を覚えていないので、「なんで食事をさせてくれないのか」と怒ったり、何度も食事を催促したりすることがよくあります。

こうした行動をとってしまうのは、認知症の中核症状の1つ、「記憶障害」によるものです。