社会的孤立に陥りやすい日本

実は、日本は社会的孤立に陥りやすい国です。

過去に行われた調査では、OECD諸国の中で、人付き合いが滅多にないと答えた人の割合がもっとも多かったのが日本でした(「Society at a Glance」2005年)。

<『老後ひとり暮らしの壁 身近に頼る人がいない人のための解決策』より>

これは、人との関わりがなくてもある程度は生活できるという、日本社会の成熟を示しているのかもしれません。

しかし歳をとれば、話し相手や相談相手、身元を保証してくれる人、日常生活の世話や介護を頼める人、死後の手続きを頼める人など、セーフティネットとして必要な人間関係というのが出てきます。

内田樹氏の著書に『ひとりでは生きられないのも芸のうち』(文藝春秋)というものがあります。

この本では「この人がいないと生きていけない」と思える人が増えることが成熟であると述べられています。

おひとりさまには「人に頼りたくない」「迷惑をかけたくない」と言う方が多いのですが、できないことは人にやってもらって当然ではないでしょうか。

ただし、自分ができることは積極的に人に提供する。それが共同体を支える相互扶助だと理解できます。

自立することは孤立することではありません。壁をうまく越える人は、ストレスにならない適度な人間関係を上手に築いています。

※本稿は、『老後ひとり暮らしの壁 身近に頼る人がいない人のための解決策』(アスコム)の一部を再編集したものです。


老後ひとり暮らしの壁 身近に頼る人がいない人のための解決策』(著:山村秀炯/アスコム)

老後ひとり暮らしの8割が不安。でも…。

「誰にも余計な世話をかけたくない!」

「自分のことは自分で決めたい!」

この1冊で、あなたのおひとりさま生活はもっと思い通りになる。