万年町、南稲荷町

<万年町>

地下鉄はどこから地下へ電車を入れるのか。

古より伝わりし人類最大の疑問に対する答えはこの町、台東区東上野・旧万年(まんねん)町にあります。

柵の向こうに見える銀座線の車両たち。踏切から勇ましく入線する様子はさながら出陣式。(写真提供:二見書房)

日本でゆいいつ地下鉄の踏切を擁する東京メトロ銀座線の車庫・上野検車区が所在し、日々地下鉄の電車の出入りを観察することが可能です。これで夜も安心して眠れますね。

<南稲荷町>

上野検車区から車両が出庫する銀座線には上野駅と浅草駅間に渋めな駅が2つ。その上野寄りの方が稲荷町駅です。

稲荷町駅と田原町駅はその渋さゆえ、便利すぎる立地にもかかわらず周辺より家賃安めの超穴場。(写真提供:二見書房)

浅草方面ホーム側の旧町名は北稲荷町。最後の同潤会(どうじゅんかい)アパートが平成25年まで存在しました。

一方、上野方面ホーム側の旧町名は南稲荷町。

下谷神社の境内でまれに見かけたアヒルはいまも健在だろうか。

※本稿は、『旧町名さがしてみました in東京』(二見書房)の一部を再編集したものです。


旧町名さがしてみました in東京』(著:102so/二見書房)

かつて存在し、そして消滅した地名=旧町名の名残りをさがす異色の街歩きエッセイ!

地名は、その地を知る最大の手掛かりであり、その地の歴史、文化を反映するものです。

旧町名にまつわる歴史的・文化的エピソードを、旧町名の遺物を16年間探し求めてきた著者が撮りためてきた写真と共に紹介します。