越乃リュウさんの写真
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第76回は「家紋にハマる」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

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歴史と家紋に興味

歴史に魅了される「歴女」。

そんな言葉が流行った頃、私は男役で、歴史にもそんなに興味はなく、そんな言葉とは無縁な人でした。

ただ、日本物のお芝居やショーで刀を持つ時だけはちょっとワクワクしたものです。

何年か前に、仕事で栃木県の足利市に行きました。
空き時間に散歩をしていると、大きなお寺があり、ふと見るとお寺の屋根に見覚えのある家紋が。

「二引両紋」

丸の中に横線が2本入っただけの極めてシンプルな紋です。
音楽学校の合格発表の日に採寸をして作った宝塚の正装黒紋付。
その黒紋付には自分の家の家紋を入れます。
黒紋付に入れた私の家の家紋と同じ紋が、そのお寺の本堂や灯籠に付いていました。

鑁阿寺(ばんなじ)の楼門
足利氏の氏寺鑁阿寺(ばんなじ)の楼門。屋根には紋が3つ並んでいます。足利二つ引きと菊のご紋と五七桐紋。足利氏が菊のご紋と桐紋を後醍醐天皇からいただいたそうです。

調べてみると、そこは室町幕府を開いた足利氏の本拠地でした。
足利家の家紋は、「丸に二つ引両」の家紋。
「足利二つ引き」ともいうようです。
そしてこの引両は龍を表しているのだとか。
偶然知った家紋のルーツと龍に勝手に嬉しくなりました。

歴史と家紋に興味を持ちはじめたのはこの時からでした。