現代人は農業と隔離された生活を送っている

森永 この間、ニッポン放送のアナウンサーが取材に来たんです。それでうちの畑を見せて「何の野菜かわかる?」と聞いてみたら、もうびっくりするほどわからなかった。ニンジンもアスパラもわからない。

わかった野菜は一つもないんじゃないかな。たとえばイチゴなんかだったら、実を見ればわかるけど、葉っぱだけ見ても何なのかわからないんです。それぐらい、多くの人が農業と隔離された暮らしを送っていますね。

鈴木 食べ物がどうやって作られているのか、農家さんがどういう仕事をしているのか、そういうこともわからなくなっていますよね。

森永 農業体験だけでもいいから、一人ひとりが農業をやってみる必要があるかもしれない。

鈴木 それを仕組みとして実現する必要があるかもしれませんね。

ビル・ゲイツ氏がやろうとしている「デジタル農業」とか、一部の人だけが儲かる仕組みにばかり予算を使っていないで、そういうことにもお金を使ったほうがいい。

すべての人が農業に関わりを持って、楽しく暮らせるような社会になれば、多くの問題が解決すると思う。

地域での連携もあって、生きがいもある。子どもたちも自然にも触れて健やかに育つ。子どもの情操教育的な面でもメリットが非常に大きい。

※本稿は、『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(講談社)の一部を再編集したものです。

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国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(著:鈴木宣弘・森永卓郎/講談社)

世界のどこかで有事、異常気象、天変地異が起きれば最初に飢えるのは日本、そして東京、大阪が壊滅する。

気骨の農業学者と経済学者が命を懸けてこの国の危機を訴える。