(写真提供:Photo AC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回「源氏物語」について、『謎の平安前期』の著者で日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。

なぜ藤原氏の全盛時代に「源氏物語」だったのか

平安時代に紫式部が創作した小説、『源氏物語』。世に数ある物語の中でも、ひときわ時代を超えて愛されてきました。

その理由はいろいろあると思われますが、実は政治的な背景も無視することはできません。そもそも『源氏物語』が『藤原』物語であれば、この話はどこまで残っていたと言うほど、源氏という言葉にはインパクトがあるのです。

源氏物語は、摂関家時代に書かれた作品です。

摂関家全盛時代と言う事は、貴族のほとんどが藤原なわけで、だからこそフィクションの中であれ、源氏の方がより目立つようになっているのです。