次第に武士の間で親しまれるように

実は清和源氏で自らを光源氏に擬したのは室町幕府第3代将軍の足利義満が最初なのです。

足利義満は、金閣寺を造られたことで知られていますが、分裂していた天皇家を合一させ、強大な権力を握った将軍です。

そして彼はそれまで、藤原道長と関係が深い村上源氏が代々就任してきた源氏長者、つまり源氏のリーダーに就任しました。

その結果、将軍に近い源氏出身の守護大名(室町幕府を支える有力大名)、例えば今川家や武田家なども『源氏物語』に興味を持つようになっていきます。

また『源氏物語』に取材をした能「葵上」「野宮」などが作られることによって、『源氏物語』は2.5次元的に見て楽しむ作品になり、武士の間にも親しまれるようになっていくわけです。