いきなり中宮になった彰子

『光る君へ」でも語られていたように、道長の長女・彰子は数え年12歳で結婚しました。

『謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(著:榎村寛之/中公新書)

一条天皇とは8歳差で、今で言えば、大学生と小学生くらいの結婚と考えていいでしょう。

普通、貴族の娘が入内をすると、まず女御からスタートするのですが、彼女は天皇の正妻である中宮定子を皇后に押し上げて、わずか3ヵ月で中宮になりました。

女御は四位程度の位階を持ち、いわば女官の身分なのですが、皇后は天皇と同等の、臣下を超えた立場です。

そしてもともと、中宮と皇后は同じ意味ですが、それを別のものと考え、中宮と皇后を同時に置いたのは、定子の父・藤原道隆でした。

それは皇后という身分の濫用とも言え、多くの反発を招きました。