赤松良子さんと樋口恵子さん
「赤松さん(左)は3歳上の先輩。忌憚のない意見から冗談まで交わし合う仲でした」(写真提供◎樋口さん)

私たちは〈長い列〉に 加わっている

赤松さんは、私が理事長を務めている「高齢社会をよくする女性の会」の総会やシンポジウムには、必ずといっていいほど顔を出し、壇上でひとことしゃべってくださった。後輩ヒグチの応援団長でもあったのです。

私たちは同志であり、忌憚なく話せる友人でもあり、永遠に先輩と後輩だった。本当にかけがえのない人でした。

97年に始まった赤松良子賞は、女性差別撤廃条約の研究・普及を通じて、女性の地位向上に貢献した国内外の団体や個人に贈られる賞です。赤松さんが代表を務めるNGO「国際女性の地位協会」の創立10周年を記念し、ご自身の退職金などを寄託してスタート。第20回まで続きました。

ちなみに2022年に創設した樋口恵子賞は、赤松良子賞をお手本にしました。私はもともと、自分の名前を冠した賞など恥ずかしくてとんでもない、売名行為ととられかねないと危惧していたのです。

ところがそんな私に、赤松さんは、「いいことならやったほうがいい。樋口さんも賞を作ればいい」と気楽な感じでおっしゃって。その言葉が記憶にありました。

近年、私は卒寿を迎えたこともあり、赤松さんを見習って、津田梅子賞受賞などでいただいた賞金を基金に、男女ともに幸せな高齢社会を創り出すために活動をしている個人や団体の方々にささやかなエールを送ることにしました。まわりの後押しもあり、賞の設立を決心した次第です。