平安時代の政治を左右していたもの

さて今回の『光る君へ』は純粋なドラマとして、特に女性からの人気を集めている印象がある一方、私の周囲を見る限り、「恋愛なんぞで歴史が動くものか!」「大河ドラマにはいくさが不可欠!」と言い出すような戦国・幕末好き(特に我らおっちゃん)のいくらかは、やや距離を覚えている気がします。

本郷和人先生が監修を務める大人気の平安クライム・サスペンス!『応天の門』(作:灰原薬/新潮社)

でも実際のところ、平安時代の政治には<恋愛>がとても大きなウエイトを占めていたことは疑いようがないのです。

ドラマにはロバート秋山さんが好演(怪演?)する藤原実資という人が出てきます。

たいへんに長生きした人で、博識。右大臣にまで出世し、道長との関係は良くも悪くもなかったのかな。

でも道長の跡取りの頼通のことは気に入っていたようで、積極的に補佐しました。その日記である『小右記』は平安研究者の必読史料です。ドラマでも、奥様から「不満は私に言わず、日記に書け」と言われるシーンが出てきますよね。

ああ、そうだ。道長の例の和歌「この世をばわが世とぞ思う・・」という「望月の歌」は、『小右記』に記事があるために、後世の私たちが知ることができるのです。