「金持ちの中国人が多いからな。その金を利用できるとなれば、金に困っているやつは手を出すだろうな」
「中国人が日本の宗教法人を買うなんて、大問題だ」
「何人だろうが、マネーロンダリングや税金逃れのために神社や寺を買うなんてのは問題だよ」
「しかしな……。相手が悪いぜ。アニキは本気で高森に楯突こうってのかい?」
「俺は駒吉神社や西量寺を守りたいだけだ。文句あるか」
「文句つけてるわけじゃねえ。俺は心配してるんだよ」
「自分に飛び火するのが怖(こえ)えんだろう」
「そうじゃなくてさ……」
「話のとっかかりはおめえなんだ。いざとなったら、おめえにも腹をくくってもらうぞ」
「俺はビジネスマンなんだけどな……」
「敵がどれくらい兵隊を集められるか、調べておけ」
「え……」
 さすがの永神も顔色を失う。「マジでそういう話なのか?」
 日村も驚いていた。阿岐本のことだから、話し合いで片を付ける心づもりだと思っていた。
 相手の勢力を知るということは、ガチで喧嘩をやるつもりなのかもしれない。
 阿岐本が言った。
「覚悟ってのはそういうことだ」
「でも……」
 永神が言う。「誠司が言ったとおり、高森んとこはもう実態がないんだから、兵隊なんて集められないんじゃないのか?」
「地下に潜っていろいろやってんだろう? 組員はいなくても、半グレなんかとつながっているんじゃねえのか? 中国系の半グレだったらやっかいだから、きっちり調べておけ」
「わかった」
「実はちょっと気になることがあってな……」
「気になること?」