撮影:霜越春樹
絶妙なボケを繰り出す「やんちゃ」なモモコさんに、すかさずツッコミを入れる「知性派」のリンゴさん。1983年にデビューを果たしなんと35年!(2018年現在)女性としての生き方にそれぞれ“差”があることをネタにしつつ、実は誰よりも互いを認め合っている2人の適度な距離感とは──

初対面は驚きの連続。「センサバンベツ」って何!?

リンゴ もうコンビを組んで35年。

モモコ ダンナさんより長いもんね。よく言うてるけど、リンゴは家族でも、きょうだいでも、友達でもない。「相方」としか言えない存在やわ。

リンゴ もともと「初めまして」でスタートしたから。女芸人は、きょうだい・親戚か友達で組むのが普通だったので、珍しいと思います。

モモコ 当時私は18歳で、高校中退した後、NSC(吉本総合芸能学院)に中途入学して。でも、学校が全然面白ないから、「もうやめます」と先生に挨拶にいったら、「今は休んでるけど、君より3歳年上の女子大生がおる。その子と会いなさい」と言われた。「なんで休んでるんですか」と聞くと「ぎっくり腰」と。「ぎっくり腰の女と会うんか」と思いながら、喫茶店で待ち合わせして。

リンゴ ヤンキーっぽい派手な格好で、友達をゾロゾロ連れてきたからビックリした。普通、人と待ち合わせするのに友達連れてくる?

モモコ こっちもビックリしたわ。英語の本を読んでたから。

リンゴ ドイツ語です!(笑)

モモコ 前髪をパッツンと揃えて、大きな安全ピンのついた巻きスカートと、ぼんぼりのハイソックスやった。全然好きじゃないスタイル。

リンゴ ハマトラです! 「今から走りにいくけどあんたも行かへん?」と言われて。私はほんまに「ジョギング」のことだと思った。そしたら「環状線を車で」って。「明日試験なんで結構です」と断りました。

モモコ 感じ悪っ! 何から何まで違うけど、紹介してくれた先生のメンツもあるから、「とりあえずNSC寄席に出て、ダメだったらやめよう」という話になった。

リンゴ そしたらウケて……現在に至る。(笑)

モモコ 当時のキャッチコピーは「現役女子大生と元スケバン」。あの頃は4年制大学を出た女性が割と少なかった。仕事の時に「卒業式なので休みます」とか言うし、「そんな大事なもの?」と思ってたわ。

リンゴ 公立中学、公立高校、大学と、普通のレールの上を走ってきた私は、高校を中退した人と知り合ったのは初めて。ドロップアウトには違いないけど、言い換えれば自分で自分のレールを敷いているわけでしょう。それはそれで素敵なことだと。

モモコ 普通なら絶対に友達にならないタイプやけど、「漫才でウケたい」という気持ちは一緒でした。でも違いすぎて、リンゴの言うことの意味がわからない。「言いたいことは言おう。喧嘩もしよう」となって、「よっしゃ!」と喧嘩腰で突っかかっていったら、「何もぶつかるばかりじゃない。意見も人それぞれで千差万別。話し合いで折り合いをつけていくという方法もある」て。「センサバンベツって何?」と思った。(笑)