胃が痛くなるような決断

ただ、それ以上に大きな負担になるものがある。

それこそが、店を借りる時に必要な「保証料」だ。飲食店の場合、この「保証料」がべらぼうに高い。

『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る』(著:川田利明/宝島社文庫)

本当は正確な金額を書くべきなんだろうけど、正直、忘れてしまった。忘れた、というか、あまりにも高すぎて、もう思い出したくもない。

当然、敷金・礼金も別にかかるわけで、店の中がガラーンとしている状態でも、すでにけっこうなお金が財布から消えてしまっている。

厨房の中も、まずは食材を保管するための冷蔵庫が必要になる。業務用の大きなものだから、これも高い。

あまりにも高いものはリース契約をするんだけど、その契約書に判子を押す時に、ある種の決断を迫られる。

普通に生活していて、何かをリース契約する時に「6年契約です」と言われても、別になんとも思わないけれど、店をオープンするために必要なものをリースする時には「そうか、俺は6年間は続けなくてはいけないのか……」とあとから実感する。

それは店舗の賃貸契約を延長する時も同じで、いまだに「これから数年後、この店は本当に続いているんだろうか?」と真剣に考えながら判子を押す。

胃が痛くなるような決断は、店をやっている以上、いつまでもついて回る。