日本の最近の現象を見ていると「Get a life!」と言いたくなる

別に私は日本を批判する目的でエッセイを書いていたわけではないのですが、イギリスではこうだと記すと、どうしても日本とのコントラストが明確になってしまうということがありまして……。たとえばコロナ禍の中で外にいるとイギリスでは警察官に怒られたけど、一般の人から咎められることはなかった。そしたら日本では自粛警察とか言って一般市民が一般市民を咎める事象が報道されていて。あるいは日本では著名人の不倫話が異常な盛り上がりで、政府の不祥事とかよりよっぽど関心が高いという……。

イギリスに「Get a life!」という言葉があって、「おまえ暇だな、自分の人生を生きろよ!」って意味なんですけど、実のところ私はこういう日本の現象を見ていると、「Get a life!」と言いたくなることがあるんですよ(笑)。緊迫感のなさとか切実感のなさが生み出す現象かなという気がします。

イギリスでは、国民の半数以上が「5年から10年以内に次の世界大戦が起こる可能性がある」と答えたという世論調査結果があり、多くの人が今の時代に危機感を覚えています。最近、総選挙があって政権交代がありましたけど、そういう大きな変化が起きるのも、そのせいだと思います。その反面、政府がどうの、国がどうのと言っていても、為政者はたいしたことはしてくれないという深い諦めもイギリスの人たちにはある。だからコロナ禍の中でも市民が助け合う運動が自発的に立ち上がるわけです。政府の重箱の隅は激しくつついても、自分たちの重箱の隅をつつき合ったりはしない。何かあったら横の繋がりで連帯して闘わなければいけないということを知っているからでしょう。イギリスのすべてがいいというわけじゃないのですが、日本の人たちは、緊迫感と横の連帯で立ち上がる気風が弱いと思います。この時代に、ホントにそれでいいのか? とは感じます。