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ジャニーズ事務所は12日、突発性パニック障害で休養していたSexy Zoneの松島聡さんが復帰すると発表した。芸能界でパニック障害になった人は多く、アン・ルイスさん、長嶋一茂さん、IKKOさんなど、枚挙にいとまがない。大きなストレスにさらされる芸能人だけでなく、自身や身近な人が「ある日突然」発症することもありうる病だというが──(取材・文=古川美穂)

発作の症状は、全部で14種類

激しい動悸、めまい、ふらつき、震え、発汗、息苦しさ、吐き気……こうした症状が複合的に襲ってくるのが、パニック障害の発作。症状は人によりさまざまだが、突然の強烈な不安と恐怖感が主な特徴だ。

実は、筆者も5年以上、パニック障害を患っている。最初の発作でパニック障害だと気付くことは難しく、呼吸器や心臓の病気だと思い病院に駆け込む人も多い。だが、検査を受けても体には異常がみつからない。いつ起こるかわからない発作に対する「予期不安」の恐怖を抱え、日常生活に支障をきたしていく──これが、パニック障害患者の典型的な例だ。

「発作の症状は、全部で14種類と言われています。そのうち3種までは『パニック不全発作』、4種以上表れると『パニック発作』といい、症状が多いほど治りにくいのです。乗り物や映画館など特定の閉ざされた空間にいるときに不安を覚える『広場恐怖』を併発することも多く、うつ病に至る深刻なケースもあります」と言うのは、パニック障害治療の第一人者、赤坂クリニックの貝谷久宣理事長だ。

日本のパニック障害の患者数は人口の3~4%と、ポピュラーな病気だ。しかし、その実態は意外と知られていない。

「パニック障害とは、神経質などのもともとの気質に環境要因、ストレスなどが重なり、情動中枢である扁桃体が誤作動を起こして過活動になる病気です。脳の過敏反応がさらに過敏反応を呼んで、発作が頻発する。発作や予期不安は非常に根深く、一度発作を起こした場所には行くのも困難になり、行動範囲も狭まっていきます。

今は治療法が進んだので、重症の人でも1年前後で社会生活ができるようになります。ただし、慢性疾患なので、薬を使いながら無理をせず、気長に付き合っていくのがよいでしょう」

発作で直接死に至ることはないが、重い症状が続くと、逃げ道として死を考えるほど追い詰められることもあるという。

 

「そんなの、気の持ちようじゃん」と言われ

漫画家の櫻日和鮎実(さくらかわ・あゆみ)さんは、自らの体験をコミックエッセイ『パニくる!?』にして発表した。

初めて発作が起きたのは、2015年の冬。同人漫画サークルが集うイベント、コミックマーケット(コミケ)に参加したときだ。突然、激しい動悸と息苦しさに襲われた。その後も小さな不調を重ね、あるとき電車の中で強烈な発作を起こし、死の恐怖を感じて駅に着いたとたんホームへ飛び出す。ネットで検索し、これが「パニック発作」だと知った。

「もともと私は楽天的な性格で、自分が神経の病にかかるとは考えてもみませんでした。でも、その日から急速に悪化し、昨日できたことが今日はできなくなり……ショックでした。歩いて5分の最寄り駅にさえたどり着けなくなってしまって」と櫻日和さん。

1日2時間しか眠れない日が続いた。病院に行ったが、処方された薬の効果がだんだん感じられなくなり、1日の用量を超えて飲んでしまうようになった。