ひとりぼっちの機内で話しかけたのは

成田空港の指定された集合場所には、添乗員も、ツアー客もいない。不安になりながら、カウンターで搭乗券を受け取り、ひとりで出国手続きを済ませ、搭乗ゲートへ。

これまでの経験では、添乗員さんが集合場所で待っていてくれて、指示に従ってぞろぞろと歩けばよかったのだが──。ツアーという実感がまったく持てない。私のお仲間は一体どこにいるの?

搭乗後間もなく、今回のツアーの添乗員だという女性が、自分の名前と座席番号を知らせにきてくれた。通路を挟んだ別のツアーの一行には、たびたび担当の添乗員さんが回ってきて、何かと心遣いをしてくれているようだ。

一方、私のツアーの添乗員さんは最初の挨拶以降、姿を見せない。左隣も、通路を挟んだ隣も外国の人で、長い間まったくの孤独状態。

沈黙に耐えきれず、とうとう隣の外国人女性に拙い英語で話しかけた。私はツアーに参加しての旅行なのだが、仲間がどこに座っているのかわからなくて心細い、というようなことをポツポツと。彼女は空手の大会のため、スイスから弟といっしょに日本に来たらしい。彼女は不安な私の話し相手になってくれた。