世界をよりよくするには

思いやりの心を言い換えれば、「相手の立場になってものを考える」ということ。そのために必要なのが、想像力です。世の中には、追い詰められてやむにやまれず悪行に走る人もいます。もちろん罪は償わねばなりませんが、もし仮にその人が理不尽に追い詰められた結果の行いなら、そういった弱い人や困っている人を追い詰めた原因や、一部の人だけがいい思いをしている思いやりのない社会を憎むべきだと気づくはずです。

身近な人に対してはもちろん、戦火から逃げまどっている人や、世の中の不条理のせいで苦しんでいる人に対しても、想像力を働かせ、思いやりの心を持っていただきたい。

さらに、動物や植物、昆虫など生きとし生けるものすべてに思いやりの心を発揮できれば、人としての格が上がります。この世界はすべてつながっており、皆、相互に助け合うことで成り立っていますので多くの人が思いやりを持てたら、この世界はもう少しよくなるのではないでしょうか。

思いやりのある人は、心の美しさや品格が自ずとにじみ出てきます。皆さまもぜひ、そうした本物の「美しさ」をめざしてください。

 

●今月の書「思いやり」

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