「もともと僕は〈強さ〉というものに憧れがあって、彫刻でも戦いのシーンや龍や獅子、強いものに惹かれるところがありました」と、彫刻を語りながら満面の笑みを浮かべる秋川さん

どこかにオリジナリティを入れて

来年には「木彫・楠公像」の展示も含む、初の個展を企画しています。そこでは今彫っている1m20cmの龍の彫刻をメインに飾ろうと思っています。

もともと僕は「強さ」というものに憧れがあって、彫刻でも戦いのシーンや龍や獅子、強いものに惹かれるところがありました。実は自分でも筋肉を鍛えることに興味がある頃があって、高校生の時はボディビルの雑誌を見て、毎日、腹筋や背筋に精を出していました。筋肉のつきにくい体質らしく、お呼びじゃなかったんですけれど。(笑)

これからの構想としては、対になった仁王像を彫りたいと思っていて、高さ1メートル、2つセットの木材を購入しました。仁王様というのは空想の産物なので、筋肉のつき方なども人間とは違って作られているのですが、僕は「人間の筋肉をまとった仁王様」を新たに作りたいと思っています。歌でもそうなのですが、何かを手本にするとか、カバーをするにしても、どこか自分のオリジナリティが作品に入っていないとモチベーションは上がらない質ですね。

左上/神秘のヴェール「ヴェール観音」〈木曽檜・2018〉、右上/「聖観音菩薩像」立像〈木曽檜・2013〉、下/仁王像〈楠・2015〉(写真提供:秋川さん)

歌の鍛錬は1日1時間半、基礎トレーニングを30分と決めています。喉は練習し過ぎてしまうと声帯を傷めてしまうので時間を決めて。

彫刻は…1日5時間くらいやっています(笑)。彫刻には怪我がつきもので、以前1時間経っても止血できないほどの深い切り傷を作ってしまったこともありました。ピアニストだったら、周囲からもう彫刻はやるなと止められていたと思います。(笑)

作品作りの最初の段階、四角い形の木からある程度の像の形まで彫っていく時なんかは、もうとにかくガンガン彫るので、肩がパンパンになってしまう。そんな時には水泳に行って肩の凝りを散らすようにしています。