趣味の彫刻から多くのものを得て
でも最近気づいたんです。歌について、苦しみ抜いて鍛えてきたわけですが、毎日ただただ楽しんで続けている彫刻も着実に腕を上げている。それならば歌もその境地で挑めばいいのではないか、と。
昨年からコロナでコンサートも軒並み中止になりましたが、正気を保っていられたのは彫刻という打ち込めるものがあったからです。趣味で始めた彫刻なのですが、本当に多くのものを得ることができました。
歌について、今後の目標はオペラに出演することです。オペラはマイクなどの音響設備のない時代に人間の肉体の限界に合わせて作られた芸術です。人間の生の声が最も遠くに届くようにと、高いキーで作曲されました。
だからプロの歌手であっても、全幕を歌い上げること自体が大変なんです。そんなオペラのオファーがあればいつでも万全の状態で受けられるようにしたいと、日々修練しています。
オペラとは主演の歌手以外にもオーケストラ、合唱団、舞台装置なども贅沢で、非常にお金がかかります。チケットだけでは実は大変で、スポンサーも必要。多くの方がクラシック音楽への理解と愛を持ってくださる土壌がないと興行することが難しい芸術です。
だから僕はクラシック音楽への扉の入り口に立って、皆様をその世界に誘う役割を、これからも担っていきたいと思っています。