老後資金のための資産運用
ローンも完済したので、老後の家はもう安泰ですね? そう聞くと、ちひろさんは心配顔になりました。「古くて世帯数が少ないから、管理費とか修繕積立金が高くって」。今すでに月々の管理費と修繕積立金で計4万5000円もします。この先、また値上げの必要が出てくるかもしれません。月々の維持費が値上がりする将来のことも考えて、「年金になる前にローンを完済しておきたかったのよ」。ちひろさん、堅実で計画的です。
老後資金のための資産運用はどうでしょう。「個人年金は1本入ってます。あと投資信託」。個人年金は月3万円の積立型で、老後に10年間、年金として受け取れる予定です。投資信託は毎月分配型で、100万円などのまとまった金額を入れて、生活費として毎月受け取るタイプです。NISAは、ほんのわずかだけ、掛けています。
「お金はあるけど時間がないか、時間はあるけどお金がないか、よね。現役で働いている時は、忙しくてそれどころじゃない。でも老後になったら、きっと時間はできるけど、お金はなくなる」
今までちひろさんは、仕事仕事の仕事人間。なんだかんだ言っても、仕事が楽しかったからです。仕事がアイデンティティーみたいなもので、趣味といった趣味もありませんでした。「昔の定年おやじみたい」と、苦笑します。趣味を持とうと、このところ、区の広報誌は熱心に見て、「お金をかけずに」参加できるものを探しています。
最近は区主催のスポーツ教室に通っています。8回で1万1千円と、民間の会員制スクールの半額から3分の1ほどと値頃です。区の健康診断や体力測定も積極的に受けています。車は持たず、移動は電車、バス、自転車。2駅先くらいまでは自転車で行きます。ここ数年で、大学時代の先輩や同輩など、何人かが突然亡くなり、「人間はいつどうなるか分からない」と痛感しました。シングルは、自分のことは自分で面倒を見なければいけません。体は資本です。