日本の敗戦は過去の話ではない

なお『昭和16年夏の敗戦』が単行本として発売されたのは1983年のことである。

それ以来、文庫化を経ながら、日本的意志決定の欠陥を指摘する名著として、折りにふれ話題になってきた。

2020年以降、新型コロナウイルス流行の衝撃が世界を覆っている。

本書の「新版あとがき」で著者は、日本におけるコロナウイルス対策についても、戦前と変わらぬ日本的な意思決定がなされていると指摘している。

かつての敗戦は、決して過去の話ではない。本当の意味で歴史に学ぶことができなければ、私たちの「敗戦」は終わらないのではないだろうか。

<前編はコチラ>


昭和16年夏の敗戦-新版』(著:猪瀬直樹/中央公論新社)

日米開戦前夜、四年後の敗戦は正確に予言されていた! 

平均年齢33歳、「総力戦研究所」の若きエリート集団が出した結論は「日本必敗」。

それでもなお開戦へと突き進んだのはなぜか。

客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を衝く。

〈巻末対談〉石破 茂×猪瀬直樹