「街を歩いていても、母親世代の方に声をかけていただく機会が増えました」(撮影:木村直軌)
個性的な髪形に印象深い役柄。「クセメン俳優」として注目を集める坂口涼太郎さんは、ダンサー、シンガーソングライターとしても活動中だ。現在は、フジテレビ系ドラマ『ビリオン×スクール』に、山田涼介(Hey!Say!JUMP)が勤務する学校の教師の1人、溝口信雄役でレギュラー出演している。ファッションやメイクで先鋭的とも見られる自己表現を続けながらも、自然体を貫く彼の想いとは――(構成=大内弓子 撮影=木村直軌)

変身願望から俳優の道へ

今日の衣装のテーマは「ご婦人」。『婦人公論』を意識して、ご婦人といえばパールでしょうと(笑)。パールって素敵ですよね。

朝ドラに出演させていただいたことをきっかけに、僕を知ってくださった方が多いのかもしれません。これまでに、『なつぞら』『エール』『おちょやん』『らんまん』と、4つの作品に出ています。街を歩いていても、母親世代の方に声をかけていただく機会が増えました。

朝ドラの中でも、『エール』で演じたヒロインのお見合い相手役は、バラをくわえていてインパクトが強かったのか、今でも覚えてくださっている方が多いんです。一話出演しただけなのに不思議でした。

出演シーンの短い作品が多かったのですが、直近の『らんまん』は初回から出演させていただき、主人公の生家「峰屋」の分家の息子・伸治を演じました。お父さん、叔父さんとともに本家を目の敵にする「意地悪三人衆」の一人(笑)。

でも、全員が同じだと面白くないなと思って、世間のことについていけない、ちょっとヌケている子、というイメージの人物に。そこを監督や脚本家が面白がって後半のシーンに反映させてくださったことが、俳優としてとても嬉しかったです。

ドラマはいろんな登場人物の人生がぶつかるカラフルな場。たった1回しか出てこない役でも、それまでの背景を自分の中で練り上げて演じます。その時に思い浮かべるのが、友人や親戚、同じ電車に乗り合わせたり街ですれ違ったりした人たち。

ふだんからそうやって「人間採集」をしているんです。彼らをモチーフに仕草などを真似てみて、「なんかこういう人いるかもな」と言われるような、自分ではない人間に変身する。それが演技の楽しさです。