「お客さんの拍手を受けた瞬間、こんなに幸せなことはない、こういうことを僕はやっていきたいと強く感じました」

踊っている姿が喋りたそうで

僕は高校入学のタイミングで神奈川に引っ越すことになったので、モダンミリイに通ったのは、中学2年生からの1年間だけ。それでも、モダンミリイは僕にとって大きな存在でした。スタジオの『戦争わんだー』(07年)という公演が、僕の初舞台になったのです。

未來さんのお母さんからオーディションを受けませんかというお手紙をいただいて。合格し高校2年生の夏休みに一人で神戸に行って、森山家に居候させてもらいながら稽古をして、本番を迎えました。

この時演じた役は、スズメ。公園でスズメの歩くリズムや動きを懸命に観察して模倣しました。それでも、スズメがおじいちゃんに蹴られるシーンが、何度やってもうまくできない。

演出の未來さんが見本を見せてくれた際、ドーンと粉砕骨折したみたいな音がするほど激しく倒れ込んだんです。表現するって大変なんだなって茫然としました。

でも、迎えた本番。お客さんの拍手を受けた瞬間、こんなに幸せなことはない、こういうことを僕はやっていきたいと強く感じました。

この時出演なさっていた八十田勇一さんが、僕の踊っている姿を見て「すごく喋りたそうに見えた」からと、「俳優になれば、ダンスもできるし、セリフも言えるよ」と言ってくださったんです。

オーディションを受けて八十田さんと同じ事務所に入り、18歳の時に俳優になりました。