どんなに忙しい朝でも

便器と便座をピカピカに磨き上げ、床に這いつくばって隅々まで拭き、壁やドアも丹念にほこりを払う。棚や操作盤を拭いて、掃除の最後にペーパーも必ず三角折り。

三角折りにしたトイレットペーパーの写真
昔瑛介がこれを見て「こびとのしわざだよー!」と言って走ってきた日が懐かしい…

ほんの5年くらい前まではこの三角折りを見つけると
「おかあさーん!トイレにこびとがいるよ!これはこびとのしわざだよ!」と興奮気味に高い声で叫んでいた瑛介、ああどこへ行ってしもうたか。
今はどこを見ても我が家にはオッサンしか見当たらんのだが。

特に悪い気は床に澱むというので、どんなに忙しい朝でもトイレの床を拭き上げて出かけるのが私のルーティン。

ある時遠征で早朝に慌てて家を出たあと、トイレの床を拭いていなかったことに気がついた。
朝の一分一秒の遅れは渋滞にかかって命取りになりかねない。

それでも、信号手前で引き返してトイレの床を拭きに帰ったこともある。やらなかったせいで試合に負けたら…と思うと、勝負に私が関われることが少ないからこそ後悔したくないのだ。即、戻る。トイレの床をシートで拭く。流して手を洗い、家を出直す。

朝陽が目潰しのように眩しい。

でも心の中で少しだけ、今日もきっと勝てる、打てるよ息子!
そんな確信を抱いて遠征先へ急ぐのは、きっと家族を取り巻く悪い運気を払っていいことしか起きないように、
「お母さん、ちゃんとトイレ綺麗にしてきたからね!」と言えるからかもしれない。
…いや、なんのこっちゃ。