人間ドラマ
ストーリーは、架空の惑星「アラキス」での覇権争いと、その中の人間ドラマ。実に複雑な設定の中で多くの登場人物が現れるが、一度見ただけでも理解し、感動してしまうのは、製作スタッフの驚異的な手腕ゆえだろう。
ティモシー・シャラメ演じるポールは、アラキスで採集される香料の採掘を担うことになったアトレイデス家の後継者だが、最初は王子として生まれたことに抗っている。父は「王になるものはそれを選べない」といい、王の愛妾としてポールを生んだ母レディ・ジェシカは「アトレイデス家を継ぐために」と、ポールに声で人を操る妖術のようなものを伝えようとする。
この母を演じるレベッカ・ファガーソンが半端なく恰好よく、Part2ではいかにも秘密結社の巫女風になっていく。古代文字の呪文を体中に入れ墨し、「耳なし芳一」ばりに妖しくなっていくのがまた見もの。
このほかスティルガーという忠臣がポールに武術を伝え、最初はなよっとしていたポールが、見事な「男」に変容していくのだ。