101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社) から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。
<生きていることが楽しくなる秘訣>
「どうせ私なんか」をやめると人生はいい方向に回り始める
私は幼い頃から母に、「おまえのような鼻がペチャンコでみっともない顔の子は、お嫁のもらい手がない」と言われ続けてきました。
そのせいで私は、「どうせ私なんか」と卑屈になり、その裏返しで自分を甘やかすようになりました。どうせ誰も私の暮らしなんか気にとめないのだから、部屋が散らかっていてもいい。
おいしいものは好きでしたが、自分で作ろうという前向きな気持ちには、なれませんでした。
つまり努力を要することとなると、「どうせ私なんか」という怠惰なところへ逃げ込んでいたのです。
そんなとき、「顔はその所有者が一生かかって作りあげる高度な芸術品である」という言葉と出会ったのです。
自分の顔は自分で責任を持て。そう言われて初めて、私は不美人という生まれつきに甘えている無責任さを自覚しました。
そして、これからは自分なりの《顔》を作っていきたい。そのために前向きに生きようと、心に決めたのです。