(写真提供:PhotoAC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。8月18日の第31話「月の下で」では、ある日突然、道長(柄本佑さん)がまひろを訪ねてくる。道長はまひろに、一条天皇(塩野瑛久さん)に入内するも、相手にされず寂しく暮らす娘・彰子(見上愛さん)を慰めるために物語を書いてほしいと頼み込むが――といった話が放送されました。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるシーンを解説するのが本連載。今回は「紙」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

紙をプレゼントされてまひろは上機嫌に

前回<自分らしい物語>を書くことを決意したまひろは、道長へ「彰子におくる物語にふさわしい良質な紙がほしい」と文を書きました。

すると道長自ら従者・百舌彦と共に、大量の越前製の紙を屋敷に届けにやってきます。

高価で貴重な紙をプレゼントされたまひろは上機嫌。あらためて、おもしろい物語を書くことを約束したのでした。

ここで「紙でそんなに喜ぶなんて…」と思ってしまうのは、あくまで現在を生きる私たちの感覚。

今回は平安時代において、紙がどれだけ貴重なものだったかについて考えてみたいと思います。