その後、英語版、中国語版、アラビア語版など、20ヵ国を超える言語に翻訳されました。共感してくださる人や協力してくださる人が大勢いるおかげで、ここまで広まり、読み継がれてきたんだと思います。

山田典吾監督の手で、映画化もされました。映画化したいというお話があった時、夫は「父親役は三國連太郎さんがいいですね」と言ったんです。そうしたら本当に父親役は三國さん、母親役は左幸子さんに決まりましたから、びっくりしました。

監督は妻の火砂子(ひさこ)さんと独立系プロダクションで映画づくりをなさっていて、資金も自分たちで集めているので、大変だったはず。でも、役者さんをはじめ多くの方が、この作品にかかわる意義を見出してくださったのでしょう。

そういえば娘に子どもができた時、夫と娘が話し合って、名前を元(げん)にしたんですよ。私、「えっ、なんで?」と、びっくりしちゃって(笑)。

娘は父親のことが大好きで、尊敬していました。離れて暮らす父親のために、よく靴やベルトを買ってきてくれましたね。だから私、夫の靴とベルトは買ったことがないんです。(笑)