京都・神護寺の肖像

ご存じのように源頼朝は、初めて武家政権を創設した武士。

頼朝と聞くと、40代以上の人は、目元のきりっとした端正な顔立ちを思い浮かべるはず。

それは間違いなく、京都神護寺の「源頼朝像」である。なぜなら昔の教科書には、必ずこの像が掲載されていたから。

しかし、この頼朝の肖像はだんだんフェードアウトしていく。

私が新米教師だった40年近く前の教科書には掲載されていたが、1999年の教科書を見ると「伝源頼朝像」(『詳説日本史』山川出版社)となっている。「この肖像画は源頼朝と伝えられている」という意味だ。

そしてわずか3年後、同じ教科書から頼朝の肖像は消えた。

この神護寺の肖像が、頼朝本人かどうか怪しくなったからである。