そんな「わが家ブランドのレモン」が…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは兵庫県の80代の方からのお便り。40年程前に裏の畑に植えたレモンの木。毎年収穫を楽しみにしていたそうですが――。

再び「わが家ブランド」を

レモンの木を植えようと考えたのは40数年前、ママ友のお宅へ伺った時のことでした。

輪切りのレモンを浮かべた紅茶を出され、「わが家で採れたレモンだから、安心して皮まで味わってね」と言われて、素敵だなあ、と。当時流通していたレモンは、皮にワックスがかかった輸入ものばかりでした。

「このあたりの土でも、レモンの木は育つの?」と尋ねると、彼女は庭のレモンの木を見せてくれたのです。

さっそく帰り道、種苗店に寄ってレモンの木を注文しました。1週間後、届いた若木を裏の畑のフェンス際、日当たりのよい場所に植えて、待つこと3年。

初めて2つの実がなって以来40年近く、毎年20個ほど収穫でき、ドレッシングや顔パックなどさまざまに活用しました。おすそ分けした友人たちにも喜ばれたものです。

しかしそんな「わが家ブランドのレモン」が、一昨年の春に突然枯れてしまい大ショック。病気だったのか、はたまた虫害か、原因はわかりません。しばらく立ち直れず、次の木を植える気にはなれませんでした。

それから2年が経った今年のゴールデンウィーク。夏野菜の苗を買いに行ったホームセンターの果樹コーナーで、レモンの木を発見しました。

そこで、「そろそろ二代目レモンの木を植えようかな」と夫に相談すると、「そうだな、リベンジしてみるか」と2人でその気に。元気な若芽の伸びた木を選んで帰りました。

さっそく裏の畑に直行。角地に穴を掘って、堆肥と化成肥料を入れ、二代目を植えました。

「実がなるまで元気でいたいね」とつぶやいた夫に、「今の私たちには、数年後の目標があるって大事なことよね。初代を植えた時には思わなかったけれど」と応え、水をたっぷりやったのでした。


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