(写真提供:Photo AC)
近年の物価高や不景気の影響で、「周囲の人に優しくできる<精神的なゆとり>をなかなか持てない」という方もいるのではないでしょうか。そのようななか、精神科医の和田秀樹先生は「こんな時代だからこそ、『優しさとは何か?』を改めて見つめ直す必要がある」と指摘しています。そこで今回は、和田先生の著書『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』から、毎日を前向きに過ごすためのヒントを一部ご紹介します。

「情けは人の為ならず」は、科学的にも正しい考え方

私が好きな言葉の一つに、「情けは人の為ならず」というものがあります。

シンプルに言い換えれば、人に対する情けは、相手のためではなく、巡りめぐって自分のためになる……という意味です。

この言葉は、人に優しくすることの「核心」を教えてくれるものだと思います。

旧5000円札の肖像画で知られる教育者で思想家の新渡戸稲造は、1915年(大正4年)に著した『一日一言』の中で、次のように記しています。

施せし情けは人の為ならず
己(おの)がこころの慰めと知れ
我れ人にかけし恵は忘れども
人の恩をば長く忘るな