健康習慣の積み重ねが一番の近道
では、慢性炎症を抑制するには何をすればよいのか。それには、健康な体の維持が欠かせません。特に、「食事」や「運動」に気をつけることが有効です。
まず、食生活は1日3食、栄養バランスのとれた食事をすることが基本。いろいろな食材を食べることは、咬合力(噛む力)の維持、嚥下機能の低下防止にも繋がります。
食べる量については、メタボ対策として「腹八分目」を心がけることが大切です。とはいえ、それも65歳頃まで。年を重ねると食が細くなる人が多いため、フレイル対策として痩せすぎないよう気をつけなければなりません。
魚や肉、乳製品、卵、大豆製品などから、筋肉を作り、免疫力を高めるタンパク質を。さらにビタミンやミネラルを多く含む野菜や果物もしっかりと摂って、骨や歯の新陳代謝と、細胞の活性化を促しましょう。
運動は、年齢や体力に合わせてできることを継続してください。世界保健機関(WHO)は、「65歳以上の高齢者は座位時間を身体活動(強度は問わない)に置き換えることで健康効果が得られる」と提言しています。実際、85歳以上の元気な長寿者の約7割が散歩をしており、ほかにもラジオ体操やストレッチなど軽い運動を習慣にしている人が多くいました。
また、近所づきあいや習い事をするなど、社会と繋がりを持ち続けることは、認知機能の維持に役立つと私たちは考えています。外出する機会が増えれば、フレイル対策にもなるでしょう。
神奈川県川崎市と共同で行った、85~89歳の高齢者を対象とする健康、生活、地域との繋がりに関する調査によると、自立している人はサークルやボランティア活動などに参加する機会が多いことがわかりました。