呼び方は「聞き手との関係性」や場面を考える

同じ状況がもし病院や学校なら自然です。

診察を待つ私に少し待つよう伝える看護師の言葉、三者面談を待つ保護者にそう伝える同僚教師の言葉……いずれも患者として、保護者として違和感を持つことはありません。

弁護士事務所でも、私が依頼主やその家族だとするなら「先生はもうすぐ来られます」はすんなり受け入れられる表現です。

つまり、冒頭で違和感を持ったのは、「ウチとソト」の関係だけでなく、診察や指導を直接受けているかどうかといった「聞き手との関係性」が全く考慮されていなかったからに他なりません。

「先生」呼びについては、近年、学校でも多少の変化が見られます。

生徒やその保護者に対しては「**先生はいらっしゃいません」と言うものの、そうではない校外の相手に「**教諭は外出中です」と言うこともあるようです。

「平田先生」でなく「平田教諭」と職名で呼んだり「いらっしゃいません」を「外出中です」と表したりするのは、過剰さを抑えた中立的な言い方です。

もちろん、そう呼ぶ人もいるというだけで、常識とされるほど定着はしていないかもしれません。

けれど、聞き手との関係性や場面を考えることなく、機械的に使う言葉よりは、重宝されてよい表現だと考えるのです。