「課長は昼食で外出していらっしゃいます」
オフィスの中でも特に苦手意識の高い「電話の応対」の例をドラマ仕立てで紹介します。
その日新人の平田は、電話の前で緊張していた。上田部長が出張しているからだ。
彼は電話が苦手で、先日も部長から優しく諭されたばかり。
取引先から課長宛の電話に「中田課長は昼食で外出していらっしゃいます」と答えてしまったのだ。
「課長の中田は外出しております、だね。理由も、わざわざ言わなくてもいいですよ」
(はー、難しいなあ。「中田課長」でさえ呼び捨てっぽく感じるのに、役職は敬称と同じだもんな。分かっていても、つい敬語になっちゃうよ。大丈夫だ。メモを読むだけでいい)。
そう言い聞かせつつ、ケースごとに細かく書いた手元のメモで復習もした。
<あいにく部長の上田は出張しております。水曜には出社いたしますが、いかがいたしましょう。
お急ぎであれば、上田からご連絡さしあげましょうか/念のため**様のご連絡先をお教え願えますでしょうか/(伝言を受けたら)復唱いたします/確かにご伝言を承りました/私、営業一課の平田と申します。
それでは失礼いたします>
復習した甲斐あって、午前中は社外からの電話対応を無事にこなした。
先輩からも誉められて、一安心。
「昼休みの電話もお任せください」とデスクで弁当を広げた。
このように電話の対応は新人研修の必須項目ですが、彼のように苦手意識を持つ人は近年増えているようです。
※本稿は『その敬語、盛りすぎです!』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『その敬語、盛りすぎです!』(著:前田めぐる/青春出版社)
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