精神疾患が理由の労災認定も増えている
いったいなぜ、メンタルを病む人がこんなに増え続けているのでしょう。
昔にくらべて日本人のメンタルが極端に悪くなりやすい要因が、ここ数十年の間に増えたのでしょうか。
現代では、少なくとも職場環境に関しては、国が推し進めている「働き方改革」で、かなり改善されているところが多いはずです。
週休2日は当たり前で、祝日も増え、定時に帰ることが半ば強制されている会社も少なくありません。
パワハラもかなり厳しく対応されるようになったため、上司から理不尽な叱責を受けたり、無理な仕事を強いられたり、責任を押し付けられたりするようなことも、以前より減ったと考えられます。
さらに最近は、終身雇用や賃金の年功序列などを見直す機運が増し、転職もしやすくなっています。
そういう意味では、職場環境は以前より働きやすい方向へ向かっているはずです。
ところが、2020年の厚労省の調査では、今の仕事に強い不安やストレスを感じている人は54・2%もいて、主な理由は仕事の「量・質」「失敗、責任の発生」が挙げられています。
しかも、仕事が原因でうつ病などの精神疾患を患い、2021年度に労災の申請をした件数は2346件で、そのうち労災支給が決定(認定)された件数は過去最多の629件。
昭和の時代を上回っているのです。
最大の原因は「仕事の質・量」で、「上司などからのパワハラ」も同程度に多かったと報告されています(厚生労働省「過労死等防止対策白書より)。