遊んで信頼関係ができると、次の発達に移動する

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、人への興味が薄いことが、発達の遅れにつながることがあります。そこで、大人はまず、「子どものやりたい遊びにつきあう」という意識が大切です。

大人が、自分の興味や関心にそって遊んでくれることで、子ども側には、「この人といると楽しい」というポジティブな気持ちが芽生えて、大人への信頼関係が築けるようになります。

子どものやりたい遊びにつきあうことで、子どもは、「この人と一緒に話したい」と感じるようになり、「この人に話しかけよう」「先生の話なら聞こう」と意識して、話す/聞く力が発達します。

また、「この人と一緒に遊びたい」と感じているので、大人から「これで遊ぼう!」と提案されると、「本当はこっちで遊びたいけど、先生と一緒に遊びたいから、誘いに乗ってあげよう」と、自分の考えに折り合いをつけて、相手に合わせて誘いに乗ってくれるようにもなります。

そして、ルールの説明を聞いたときでも、「この人と遊びたいから、ルールは守ろう」と規範意識が育ちます。

複数人で遊ぶ場合は、「この人を困らせたくないな」と感じて、マナーを守って参加してくれるようになります。

このように、子どもの提案に乗って遊ぶことで、1信頼関係の構築、2話す/聞く力、3我慢して折り合いをつける力、4ルール、マナーを守る力など、さまざまな力が発達していくのです。