口座から出金するために突きつけられた条件は

まず、運用資金を専用口座に振り込むよう指示が入った。少額ではあまり意味がないだろうと思い、100万円振り込むことに。入金が完了すると、今度は会員用のLINEグループに招待された。

そこには20人ほどの参加者がいて、会話も自由にできるようになっている。私たちは、投資取引用のアプリをダウンロード。国際金市場に口座を開設してもらい、金の取引に参加することになった。

ここで行う投資は、自分で振り込んだ金額の10%(私の場合、100万円のうち10万円)を1回の取引で運用し、30%の利益が出る仕組みだった。つまり1日1回、しかもたった30分の取引で約3万円の利益が出るのだ。わー、すごい!

私は「ブルジョアがやっているのは、こんな取引なのか。だから生涯ブルジョアなんだなあ」と感激。

さらに、振込額が多くなると1日2回取引できるようになるシステムだったので、私は保有していた株を売却し、そのお金を運用資金につぎ込んだ。合計2000万円。振り返ると驚く金額だが、マネーゲームのようで楽しくなってしまったのだ。

3週間後、口座には5000万円以上のお金が貯まっていた。つまり予定通り、資金を2倍以上に増やしたことになる。Mさんは3月下旬に、「これで資金倍増計画は終了とします」と宣言。

そして、振込額が5000万円以下の人はLINEグループから退室し、口座にある資金をすべて引き出すよう指示があった。その最後には、目を疑う一文が。「資金を引き出す前に、手数料10%の支払いを済ませていただきます」

つまり、手数料を手持ちのお金で支払ってからでないと、口座から出金できないというのだ。手数料がかかることは知っていたが、取引口座に入っているお金が使えないとは聞いていない。私は約500万円を要求され、一瞬にしてパニックに……。