老後のお金でもっとも重要なこと

彼女の場合、老後資金が足りなくなる心配はしなくても大丈夫です。それよりも、相続問題のほうが心配でしょう。

傍目には、笑い話のように聞こえます。とはいえ、「お金が減っていくこと」は、本人にとっては深刻な悩みなのです。

どんなにお金があったとしても、それを取り崩す生活は、預金の残高が減り続けます。預金通帳を見るたびにため息をついているようでは、不安は募るばかりです。不安を抱えながらの生活は精神衛生上よくありませんし、何より楽しくありません。

老後生活は、お金があれば安心というわけではないのです。

『投資ゼロで老後資金をつくる』(著:長尾義弘/青春出版社)

老後資金を2000万円、4000万円と準備したとしても、そのお金が減っていくことに変わりはありません。あとどのくらいもつのだろうという不安は、多かれ少なかれつきまといます。

世の中には、「老後資金を貯めることが大切」だの「老後資金をいかに運用すべきか」といった情報があふれています。

しかし、こうした風潮に惑わされてはいけません。

老後のお金でもっとも重要なことは「収支のバランス」です。「収支のバランス」が取れていれば、老後資金はそれほど必要ありません。そして、お金が減り続ける恐怖に苦しめられることもなくなります。

毎月、入ってくるお金と出ていくお金がトントン、もしくは収入が上回っているなら、「お金がなくなる」心配から解放されます。

逆に、バランスが悪くて支出が多いと、老後資金を取り崩すしかなく、お金は減っていくばかりです。