合理的配慮は「優遇」ではない

また、ほかの生徒であればマークシート形式で受ける試験も、マークシートをうまく塗りつぶせないという理由でマルをつける方式で回答ができる答案用紙にしてもらったり、答案用紙の大きさ自体も、約2倍の大きさのものを使わせてもらったりしていました。

「自分だけ特別待遇でいいのか」と引け目を感じるかもしれませんが、「自分ができないこと」を学校側に伝えるのを恥ずかしがることはありません。

『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』(著:酒井隆成/扶桑社)

合理的配慮は「優遇」ではなく、僕たちが普通の人たちと一緒に学ぶために、マイナスをゼロにしてもらうために必要な試みだと思います。

のちに大学に進学した後も、テストなどの際は、同じように合理的配慮を受けていました。

もしかしたら、そんな僕の様子を見て「なんで酒井だけ試験時間が長いんだ。ずるいじゃないか」と感じる生徒もいたのではないかと思います。

ただ、学校側が配慮してくれたのか、そういった声が僕の耳に入ったことはありません。そんな環境で学生生活を送れたことは、とてもありがたいことだったと思います。