空気は悪くしちゃいけないし、お客さんにも気を使っているのがバレてしまうとしらけてしまう。だから、あまりにエスカレートしてしまったら、「ちょっと、それは言いすぎちゃう?」みたいなことを舞台上でわざと話して、エンタメとして昇華することもあります。

どれだけ長くお笑いの世界にいても、舞台を降りれば後悔の連続です。よく言われることですが、芸人が笑いを取れなかったときのダメージは、一般の人の1000倍。これは本当にそうだと思います。

想像になってしまいますけど、会社員の人が飲み会で笑いが取れなかったとしても、何日もどんよりとした気分を引きずって過ごす人は少ないと思います。

でも、芸人は笑いがすべて。笑いが取れないというのが一番しんどいことです。人の1000倍傷ついたとしても、舞台に立てばまた目の前の人を笑わせたいと思ってしまう。それが芸人の性なんだと思います。

 

※本稿は、『悲しみは笑い飛ばせ!島田珠代の幸福論』(著:島田珠代/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。


悲しみは笑い飛ばせ!島田珠代の幸福論(著:島田珠代/KADOKAWA)

唯一無二の持ちギャグで、新喜劇を長きに渡り支えている看板女優の島田珠代。
酸いも甘いも知りつくした彼女が、人間関係や仕事、恋愛、自分らしさ、そして女として生きることなどを赤裸々に語った自身初のエッセイ。笑いあり涙ありのエッセイを読めば、人生のヒントが見つかるかも?
巻末には推しと公言するロングコートダディ堂前さんとの対談も収録。