(写真提供:『悲しみは笑い飛ばせ!島田珠代の幸福論』/KADOKAWA)

プロの駆け引き

笑いのプロと言っても、やりとりの中でヒートアップしてイジリすぎてしまうこともあります。

会場が盛り上がって「もっとやったれ!」みたいな雰囲気のときには全然問題ないですが、いきすぎてしまうとお客さんは「それは珠代ちゃんがかわいそう」って感じてしまうことがあります。見ている人が「かわいそう」と思ってしまったらもうお笑いにはならないと思います。

舞台に上がっているときに、そういう空気を感じ取ったときには、イジリに負けないボケで上書きしていくしかないんです。「一瞬かわいそうだと思ったけど、やっぱり珠代ちゃんはこれくらい言われないと分からんよな」って見ている人が思ってくれるくらいにボケないと。

そんな気遣いをしているうちにツッコミの人も冷静にまわりを見られるようになって、全体としては丸く収まるということもあります。

ただ、難しいことにツッコミの人が最後までなかなかお客さんの反応に気づいてくれないこともあります。というのも、舞台はリアルタイムで進むから自分のことで一生懸命だったり、まわりを見る余裕がなかったりすることもあるんです。