アメリカから始まった変化
変化はまずアメリカから起こりました。入院期間の短縮化が進み始めます。早期離床の研究が進み、患者さんがベッドから離れる期日や入院期間がだんだん短くなっていきました。
「じっとしていると、その分だけ体力が低下して寿命が縮まる」として、手術を受けたらできるだけ早くベッドから起き上がり、早くリハビリを始めることが回復を助けると考えられるようになってきたのです。
アメリカに追随するように、日本でも、手術後の入院期間の短縮などが遅ればせながら進み始めます。
しかし、慢性疾患の患者さんや高齢者の健康管理については、安静や運動不足が体に大きな害をもたらすという考え方は、まだまだ広まっていませんでした。
慢性腎臓病だけに限りませんが、病気をよくするためには安静がよいという考えは、近年まで根強く残っていたのです。
繰り返しになりますが、入院した原因である病気がよくなっても、安静にし過ぎた影響で歩けなくなってしまう患者さんを、私は多く診てきました。
このような臨床の経験が、のちに腎臓リハビリを構想するための一つの契機となったのです。