腸とパーキンソン病は関係している?

さて、ここまで読んで、これらの疾患が脳腸相関(腸と脳が相互に情報をやり取りしながら、お互いに影響を及ぼし合っているという概念)とどう関係があるのか? と思われたかもしれません。

皆さんが感じたように、これまで単に脳の神経疾患だと考えられていたパーキンソン病は、研究が進むにつれて、腸との関係が明らかになってきたのです。

パーキンソン病では、神経症状の前に、がんこな便秘症状が見られます。また、先ほどお話ししたように、パーキンソン病の原因と考えられている異常型α-シヌクレインは、脳の中脳の黒質ニューロンだけでなく腸管を支配している求心性迷走神経にも蓄積しています。

パーキンソン病の患者の求心性迷走神経に異常型α-シヌクレインが蓄積していたことから、この異常型α-シヌクレインが体内のどこで作られ、どのようにして求心性迷走神経に蓄積するのかが調べられました。

その結果、ある種の腸内マイクロバイオータ(腸内に棲みつく微生物の集団)が、α-シヌクレインに似た構造をしているタンパク質(カーリータンパク質と呼びます)を産生していることがわかったのです。