頼もしい助っ人

樋口 それだけ、ご自身の体調に敏感なんでしょうね。

下重 そうだと思います。小学校2、3年のときは結核で自宅療養してましたから。常に自分の体を観察していますし。

『90前後で、女性はこう変わる』(著:樋口恵子、下重暁子/幻冬舎)

樋口 私は77歳のときに胸腹部大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)という大動脈が太くなり瘤(こぶ)のようになる病気に見舞われ、3個の瘤を人工血管に置き換える手術をしました。術後とにかく痛くて痛くて。あれは、正直つらかったです。恥ずかしながらお医者さんに「先生、痛い、痛い! 助けてくれぇ」などと泣きごとを言ってしまいました。

退院してからも、しばらく痛みが続いて。ベッドに横になって「痛いよ〜、痛いよ〜」と声を出していたら、猫がそばに来て、ざらざらの舌で手をそっと舐めてくれました。

下重 頼もしい助っ人(すけっと)ですね。私の場合、猫は失恋の痛みを慰めてくれましたが(笑)。

樋口 猫は優秀ですものね。でも当時の痛みは、猫のかわいさを上回っていました。