膝は大事

下重 確かに手術は切るから痛いでしょうけど、小さな痛みも、それはそれで耐えがたいものです。いつだったか、転んで膝をぶつけたことがあって。すごく痛かったので、ひょっとして膝のお皿が割れたかなと心配になって、すぐ病院に行きました。

レントゲンを撮っていろいろ検査をした結果、先生曰く「あなたの膝は丈夫です」(笑)。膝を褒められてもねぇ。

樋口恵子
樋口恵子さん(2022年6月撮影。撮影:婦人公論.jp編集部)

樋口 いやいや、膝は大事ですよ。私は50歳のとき、友人の家の外階段で足を踏み外して、ひどく右膝を強打。幸い膝蓋骨(しつがいこつ)は折れていませんでしたが、手術をするかしないかの境目くらいだ、と医師から言われて。結局、手術はしませんでした。

60代では、雪かき中に左膝をひねってしまい――。その両膝の古傷が、70をすぎた頃から痛むようになったんです。「古傷が痛む」という言葉がありますが、20年もたってから影響が出ることにびっくりしました。幸い、いい整形外科医と出会い、膝関節装具をつくりました。