経費を節約するためには

ただモノを処分するためにかかる経費を節約する方法はある。

最初からモノを持たないことだ。

新卒で入社した専売公社に勤めていた頃、先輩が転勤になり、引っ越しの手伝いで社宅を訪ねたときのことだ。

家族持ちだというのにビックリするほどモノがなかった。

当初はどうしてこんなにモノが少ないのだろうと不思議に思っていたのだが、当時の専売公社では、頻繁に転勤があるため、防御策としてモノを持たないのだと気づいた。

突然転勤を命じられ、2週間後には新任地で仕事を始めないといけない。しかも多い人は、毎年のように転勤を命じられる。そうなったら引っ越しに時間をかけてはいられない。

モノがなければないほど楽なのだ。

逆にいえば、モノはなくても暮らせるということだ。

日頃から最低限のモノで暮らしていれば、一気に断捨離をする必要もないし、モノを捨てるための経費もかからないのだ。

※本稿は、『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』(興陽館)の一部を再編集したものです。


身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』(著:森永卓郎/興陽館)

2023年12月、ステージ4すい臓癌で突然の余命4か月告知。

あした死ぬことがわかった私は終活をはじめた。

モノ、時間、お金、死を目前にしたとき、なにを始めたのか。著者、渾身の一冊。