東京高検「抗告断念」の一報。その時、2人は…

東京高検の最高裁への特別抗告の期限は5日間(土日は除外)で、2023年3月20日の月曜日がそのリミットだった。

再審開始決定を一面で報じた3月14日付の毎日新聞朝刊には「検察側は最高裁に特別抗告する方針」と書かれていた。

「百歳まででも戦います」と笑う袴田ひで子さん(本書より:著者撮影)

決定は「捜査機関の証拠捏造」を指摘したため、メンツを重んじる検察は抗告するのではとも懸念していた。

捜査機関の発表に先駆けて報道することを業界では「前打ち記事」というが、相当の確度がない限り、トップ記事で「特別抗告の方針」とは書かない。筆者は特別抗告すると悲観した。

14日午後、参議院会館で院内集会(報告会)があった。弁護団の西嶋勝彦団長に駆け寄って「毎日新聞が抗告するって書いていますよ」と知らせると、「えっ、本当、そうなの。知らなかった」と驚いた。

経緯説明のため登壇した西嶋氏は「特別抗告するという報道もあるようだがけしからん話です」と怒った。